口腔内のトラブル
味覚障害がある
おいしい食べ物を楽しんで食べることは、人生の大きな楽しみの一つです。そのために味覚は大切な役割を果たしています。味覚が感じられないと、食べることも、飲み込むことも不快に感じ、また腐った食べ物や毒をもつ食べ物の味がわからないと、生命にとっても危険です。
一度口腔外科を受診してみてください。
味覚の働きとしては次のようなものがあります。
- 食べ物の味を感じ、食欲を刺激する。
- 食べ物の味を弁別し、危険なものを食べないようにする。
- 唾液を分泌させる。
- 消化液の分泌を促し、消化を促進する。
- 生体に必要な成分を含んだ食べ物を選択して摂取することを助ける。
舌のみではなく、軟口蓋および咽頭も味覚に関わっています。
味覚の支配神経は下記のように分かれています。
- 舌の前2/3:顔面神経(鼓索神経)
- 舌の後1/3:舌咽神経
- 軟口蓋 :大錐体神経
これらの神経自身、あるいはこれらの神経の中枢になんらかの異常が生じると味覚異常が生じ、味覚低下が認められることとなります。神経性の味覚異常は、まれに脳腫瘍、外傷・手術等の合併によって認められます。
ほとんどの味覚異常は末梢性で、味の伝達を行う味蕾の減少・萎縮、唾液分泌の低下、さらには唾液中の非生理的物質が排泄され、それが異常な味物質として働くことにより生じます。
味覚には「甘味」、「酸味」、「塩味」、「苦味」の4基本味覚をはじめとする様々な味覚があります。この味覚を伝達するのが味蕾という味覚受容器です。
味蕾は舌では表面の乳頭中に、軟口蓋・咽頭では粘膜直下に存在します。舌乳頭が何らかの原因で萎縮・減少すると味蕾の数も減少し、味覚が減退することとなります。
味覚の異常
味覚の異常は大きく2つに分けられます。
- 味覚低下(無味覚)
味覚の減退です。ある特定の味がわからなくなることもありますが、ほとんどは4つの味覚とも低下します。 - 異味覚
異常な味がすること。また常時「渋味」が感じられたり、口腔に異常な味を覚える。
【原因】
- 乳頭の萎縮・消失……生理的(加齢的)、貧血などによる
- 唾液分泌の低下……加齢、シェーグレン症候群などによる
- 唾液中の非生理物質の排泄
- カンジダ症
- 医原性の味覚低下……がん治療(放射線、抗がん剤)により、唾液腺機能が障害され分泌低下、舌乳頭が萎縮することによる
- 亜鉛の不足……食物中の亜鉛と薬剤がキレートをつくり、亜鉛の吸収が障害され、味蕾細胞の若返りが障害されることによる
- 降圧剤、トランキライザー、抗生物質、抗アレルギー剤等による薬剤の作用
- 歯周病
- 特発性、心因性
- 体感異常症(セネストパチー)
治療
原因により、それぞれにあった治療を行ないます。
貧血:鉄分の投与
唾液分泌低下:唾液分泌促進剤の投与
カンジダ症:抗真菌剤による含嗽等
薬剤の副作用:原因薬剤の服用を中止する
歯周病:歯周病の改善治療