理事長挨拶
この度、公益社団法人日本口腔外科学会の第16代理事長を拝命いたしました東京科学大学の原田浩之です。これまで理事を8年間務めさせていただき、古郷元理事長、鄭元理事長、桐田元理事長、池邉前理事長の元で多くのことを学ばせていただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。本学会の発足は1933年であり、先般90周年誌が発刊されましたが、先人たちの血の滲むような努力、本学会の歴史の重さを痛感いたしました。これから100周年に向けて、本学会のさらなる発展に寄与したいと思います。
創立100周年までに池邉前理事長が掲げた様々な目標があります。それは、1)学会員数11,000名の維持、2)専門医数を2,800名(会員の30%)に増加、専門医の女性割合を11%→18%へ、3)次世代若手口腔外科医の育成、4)本邦口腔外科医数の地域格差の是正、5)国際的プレゼンスの維持(IAOMS、Asian AOMSとの国際連携強化、FIBCSOMS数を200名へ)、6)本学会公式英文機関誌J Oral Maxillofac Surg Med Pathol (JOMSMP)のIFの向上です。これらの課題を継承し、改善・解決していかなければなりません。これらに加え、7)採択率向上による日本口腔外科学会雑誌の充実、8)病院歯科の認知度の向上を目指したいと思います。昨今、歯科医師国家試験合格者数の減少し、2014年以降の歯科医師国家試験合格者数は平均2032人/年、それ以前の合格者数は平均2394人/年であり、2014年以降4000人の新歯科医師が減少していることになります。人口は減少していますが、口腔外科疾患を有する高齢者の割合は高くなっており、口腔外科医療の需給バランス崩壊の危機感を持たなければなりません。3)若手口腔外科医育成はいつの時代も課題に挙げられていますが、現在の状況では、デジタルラーニング教材やAIの活用、多様性の考慮、キャリア形成のための環境整備など解決しなければならないことは山積みされています。各施設の対応ではなく口腔外科界全体として考えてゆかねばなりません。6)に関しましては、早急にJOMSMPのIF 1.0以上を目指したいと思います。以上の目標は自力でできるものはなく、学会員の皆様のご協力が不可欠です。何卒ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
我々は、公益社団法人として、学術・科学の振興を通じて不特定かつ多数の者の利益を増進する事業を行わなければなりません。人を幸せにするためには、まず学会員自身の足元を固めないといけません。学会員の皆様、開業医や病院歯科、大学などの先生から広く意見を集めて対応してゆきたいと思います。